2019年10月21日月曜日

動物表現は無限の可能性を秘めて

動物は自分の版画のモチーフとしてしばしば登場してもらっています。リアルにもイラスト風にも、可愛らしくも不思議にも、動物表現は無限の可能性を秘めているように感じています。この週末訪れた展覧会は偶然ですが、どれも動物が主役の作品でした。

一つは「林陽子 銅版画展 ーMystic elements Vl ~ my lost crown ー」
繊細でクラシックな印象の絵はケルトの森をイメージしているとのことです。細部まで心を込めて描かれた絵にはそこここに動物が隠れていて発見したときは「見つけた!」と叫んでしまいそうです。(銀座伊東屋K-ITOYA B1で10月31まで)



同じ伊東屋で開かれている「ケモノはあるく」展。こちらは森田MIUさんとYOSHINOBUさんのユニットによる展示です。オリジナル作品に加えて、動物モチーフを織り込んだポーチやハンカチーフなどの雑貨も色々。どれをとっても、詩人の仕事だなと感じます。ユーモラスにデフォルメされた動物がシンプルな線で描かれていて色合いもシック。みんな連れて帰りたい!(銀座伊東屋本館1Fで10月29日まで)



もう一つは唐津のり子さんの版画展「椅子の上の猫たち」。唐津さんの作品は、いつ見ても余白の美しさに感心します。今回、柄物の椅子と猫ちゃんの組み合わせがとてもお洒落なのですが、これもスペース配分が大きく寄与しているように思いました。(コピス吉祥寺4F連絡通路で10月31日まで)


2019年10月13日日曜日

備えあれば、とは言うものの....

大型台風19号が通り過ぎていきました。各地で川の決壊や土砂崩れがあり、多くの方々が被災されました。
台東区も、万一近くの荒川が増水して決壊すると、一部の高台以外ほぼ区内全域が浸水すると聞いていました。急ぎ、防災関連の情報資料を出してみました。


①「水害ハザードマップ」。区が配布。自然災害のうち洪水(浸水)について、浸水範囲を予想し地図化したもの。これによると婆宅は、荒川決壊後、3〜6時間以内に3〜5mの浸水があると予想されています!避難場所は上野公園と谷中墓地との2箇所。
②「台東区防災地図」。区が配布。災害が発生したときに避難する場所や、防災関係施設などを記載。こちらは主に震災を想定。近くの学校などに避難所マークがついています。



これらを眺めているうちに疑問がわいてきたので区の災害対策課に電話しました。

震災だと近くの学校などに避難できるが、学校の入り口を誰がいつ開けてくれる?
洪水の際、区内中の人間が上野公園に避難できるのだろうか?立錐の余地ない状態になってしまうのでは?

災害対策課の返事です。
今回は、震災避難のことは切り離して洪水のことだけ考えて欲しい。近所の施設などに避難すると、水が引くまでの一週間位の間そこで孤立してしまう恐れ有り。先ず命だけは守るということで、上野公園に逃げる。が、そこで避難生活を送るということではない。各自が文京区とか近隣地域に移って水が引くのを待つということです。

そうなのですか〜。上野公園が避難場所というのはそういう意味なのですね。その先の行き先を自分で確保しておかなければいけないということ。その備えが必要なのですね。あらら。
急いで区外の友人にメールをし、万が一の際の受け入れをお願いしたのでした。


2019年10月5日土曜日

カダケスをご存知ですか?

10日間ほど旅に出ていました。
40年ぶりのスペインでしたが、古い町バルセロナやマドリードはほとんど何も変わっていない印象。日々激変する東京とは対照的でした。

一つ変わったのはソフトの方。どのサービスもNET優先になっていたことです。ホテルはもちろん、列車も高速バスも。想像できるものは、東京で予約していきましたが、美術館も例外ではありませんでした。
例えば、バルセロナのピカソ美術館。フリーで訪ねてみたら、NET予約で既に定員に達していて入れませんでした。ホテルで予約してから再訪。危ういところでした。

今回のお目当は、スペインの北の端、地中海沿岸の小さな町・カダケスを訪れることと、マドリードのSorolla の美術館で彼の作品をじっくり観ること。この二つでしたが、どちらにも満足しました。

カダケス(Cadaques)は美しい町でした。足の便の悪さから観光客が少なく、昔ながらの白壁にオレンジ瓦の家並みが手付かずのまま残っています。ダリやピカソら多くの芸術家が愛したということで、石畳の細い通りには小さいギャラリーが点々とありました。




その一つのギャラリーで開かれていたミニ版画の展覧会に婆も出品していたのでちょっと覗いてみたかったのです。たまたまお会いした主催者の方から、その場で、売却済み作品の代金を支払われ、追加作品を送るように言われたのにはビックリ。おおらかな運営をしているようでした。

Sorolla は、 Sorolla美術館(彼の自宅だった)にあるもの、王立美術アカデミーやプラド美術館が所蔵展示している作品、どれをとっても彼の技術の高さが遺憾なく発揮されていて、う〜んと唸るばかりでした。




夏の名残の日差しが眩しく肌を焦がして帰ってきましたが、思い切って出かけて良かったなと思っています。


2019年9月21日土曜日

"階段下"も魅力あるスペースに

ご無沙汰してしまいました。
先日の台風15号が我が家にも被害をもたらし(何と雨漏りが!)修復にバタバタしていました。予想以上の大風で被災された房総の方々は、その後の雨や暑さでどんなにか辛い思いをなさったことでしょう。

今日は造形作家・田村雅紀さんの個展の最終日にお邪魔しました。場所は、昭和初期のレトロな建物、銀座の奥野ビルの地階にある、ギャラリー「巷房」の"階段下スペース"です。

これまでも「巷房」の3階で展示をなさっている作家さんが、この小さなスペース、階段下にも作品を設置されているのを何度も見てきています。が、田村さんの展示がこのスペースを一番上手に活かしているという印象でした。

貝殻と石粉を使って小さな立体(主に建物)を作っている田村さん。最近は国内外、色々な会場で意欲的に発表なさっていて将来が楽しみです。




隣の部屋で展示中の中村香さんという女性の作家さんの作品も見せてもらいました。
アクリル絵の具を使った抽象画や綺麗な色使いのコラージュは、控えめで静かな作者とは対照的に明るく楽しげなものでした。


(注:両展とも本日で終了しました)


2019年9月5日木曜日

またもやモノクローム?

この前、色を使うのが苦手なのでぬり絵に挑戦してみた話を書きましたが、よく考えてみると自分は色というものに鈍感なのかもしれないということに思い至りました。意識してみれば、周囲に本当にたくさんの色が存在しビビッドに個性を主張しているのに気がつかないのです!困った、というか残念なことです。

例えば街中。ACCa の近くの横道や小道は普通の住宅や家内工業の小振りなビルなどが並びいつも何気なく通り過ぎてしまうのですが、意識しながら歩くと、カラフルな建物がいくつも存在するのに気づきます!ちょっとカメラに納めてみました。



かく言いつつも、現在制作をしている版画もまたモノクロームになりそうです。
雪の朝のバス停の風景。この写真に惹かれてレトロな雰囲気に仕上げたいと思い取りかかりました。
女の子のコートには赤を挿す予定ですが。



2019年8月23日金曜日

嬉しい驚き、B & B!

この夏2度目の旅は安曇野へ。
前回泊まったのは、美術館があるような会員制のホテルでしたが(もちろん婆たちはビジターです)、今回はBed & Breakfast。若い頃利用したヨーロッパのシンプルな宿と朝食を想像していましたが、その予想は完全に裏切られました!

洗練された建物に加えて、朝食の見事なこと!目を見張りました。日本料理がメインですが、季節の新鮮な素材を使ってその朝の為に用意された料理が美しく盛り付けられています。今までこんな朝食を出してくれる宿に泊まったことがありません。



婆はこのブログを始めるに当たって、決して食べ物や食事の写真を載せないと心に誓ったのですが、思わず写真を撮りたいと思った程です(思い留まりました)。メニューの1例だけ載せてしまいますね。



宿には恵まれましたが、お天気の方はどうも...。3日間とも雨でした。
唯一、ガラス作家の松浦あかねさんにお会いできたのが嬉しいことでした。現在日本橋の三越で開かれている日本ガラス工芸協会の展覧会(8月27日まで)に出品中と伺いました。ご活躍です。そうそう、チワワのキューちゃんも元気でした。



2019年8月15日木曜日

近代日本の女性芸術家は?

「あいちトリエンナーレ2019」。この国際芸術祭に寄せて、吉良智子氏(ジェンダー・美術史研究者)が昨日8月14日の東京新聞夕刊に”アート界にも男女平等を”という一文を載せています。

日本では戦前まで、女性は東京芸術大などの国立の機関で美術教育を受ける権利がなかったと言います。私立女子美術学校や一部の私立校、私塾を除いて。 それが戦後男女共学になり法的には平等になったかのようなアート界だが、しかし現状は?という主旨かと思います。

丁度、上野の国立西洋美術館で開催中の「モダン・ウーマン ‐フィンランド美術を彩った女性芸術家たち‐」展を見てきた後だったので、両国を比較して考えることができました。

フィンランドの最初の美術学校では、創立当初から男女平等の美術教育を奨励したとのこと。19世紀半ば。日本に先立つこと100年です!自国での教育、さらには留学のチャンスを掴みキャリアを積み重ねることができたその時代の女性芸術家たちに焦点を当てた展覧会が今回のモダン・ウーマン展。考えさせられました。4年前に日本でも紹介されたヘレン・シャルフベックなど7人の女性芸術家の作品が展示されています。絵画、彫刻、素描、版画など。独自の芸術表現を追い求めて活動していった彼女たちの軌跡を垣間見ることができます。(9月23日まで)




ふと思いました。同じ頃の日本で、即ち明治・大正・昭和の時代に芸術を追い求め、不自由な環境にありながら、自己実現を果たした女性芸術家といえば誰だろうか?と。
上村松園、三岸節子、ラグーザ玉、小倉遊亀、片岡球子、などなど有名人ばかりが頭に浮かんできますが、きっともっと沢山の女性芸術家が注目されないまま埋もれているのではないでしょうか。