品川区大崎のO美術館で「中林忠良銅版画展ー腐食の旅路ー」が開催されています。会期中に中林先生によるアーティストトークがあることを知り、是非とも参加したいと出かけました。
中林先生の主にモノクロームの作品は、非常に精神性が高く、見るものの心奥深くに迫ってくるものがあります。が、果たして自分がどこまで理解できているのか不安にもなるのです。作者のお話を伺うことで幾分なりと制作の意図を感じとれるようになるかもしれないと期待が膨らみました。
トークは、参加者からの質問に先生が答えられるという形で進められました。
東京芸大の油画のクラスにいながら、駒井哲郎先生の集中講義で銅版画を知り、進むべき道を確信したこと。金子光晴の詩片「すべて腐らないものはない」と出会い、社会や自然環境と自分との関係を、同様に腐りいつかは果てていくものと納得。「腐食」による銅版画は、その過程を自分の手の中で短時間のうちに画像化する仕事と捉えるようになったこと。3.11の大災害の後、自身の作品の中に穏やかな光が現れるようになったこと、などなど。
巧みな話術で、詩的に、時にユーモラスな話題も交えながら、質問者にわかりやすく話してくださいました。先生の慈しみ溢れる人間性にも触れることができたようで婆はいたく感激して帰ってきました。
展覧会は11月20日(水)まで。入場無料です。
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