2019年3月30日土曜日

初めてアンデパンダン展を観る

花冷えの週末、六本木の国立新美術館で開かれている「第72回日本アンデパンダン展」に行ってきました。

そもそものアンデパンダン展は、19世紀の末にフランスで反アカデミズムを目指す作家やサロン落選作家たちによって結成された独立芸術家協会が始めたもの。所定の会費を払えば誰でも出品することができ、審査なしで展示されるシステムの展覧会です。

これに倣い、日本でも戦後「日本美術会」が結成され、民主的立場に立った日本アンデパンダン展が開催され今に至っています。



会場に入ると力量十分と見られる作家の大作が並び、ホーっと感心。誰でも出品できる会とは言うもののレベルが高い、と感じましたが、会場を巡るうちに、アマチュアの小振りの作品も多数見られて、展覧会の目的が果たされているのが分かりました。

ご紹介したい作品が何点もあったのですが、本人の承諾なしでは写真が載せられないのです。残念。唯一承諾が得られた作品、即ち婆のパートナーの絵をご覧くださいませ。彼が出品したのではなく、日本美術会が運営する研究所「民美」の紹介コーナーに参考作品として展示されています。(展覧会は4月1日午後2時まで。)



新美の帰り、ミッドタウンの中のサントリーミュージアムのショップで過去展のカタログを、また今月いっぱいで閉店のTSUTAYA で直木賞受賞作「宝島」を購入して戻ってきました。



2019年3月23日土曜日

動物園余話

前回、宇都宮動物園のお話をしましたが、婆は家族に小さな人がいない割には動物園によく行く方だと思います。その主な動機は、間近に生きた動物たちの美しい、或いは愛らしい姿形を見ることで、心和むからかもしれません。言わば、娯楽としての動物園です。



けれど、心の片隅にいつも疑問が見え隠れしているのも本当です。人間の勝手で、野生から個体を引き離して飼育し、観覧に供するという行為は許されるものだろうか?
況してや、日本国内で高度成長期に乱立した動物園が不況期に入り、また飽きやすい日本人の性格も手伝って、経営が悪化、飼育環境が劣化している状況を見ると、動物に対して何と無責任な、残酷なと感じてしまいます。
ただ、今現実に動物園にいる動物たちにはできる限り健やかな生を送り、命を全うして欲しいので、支援しなければとも思うのです。

動物園の在り方、その存在意義については、旭川の旭山動物園の坂東園長の考えが非常に深く示唆に富んでいます。もしご興味がありましたら、是非以下をご覧になってください。

http://yorimichi.airdo.jp/asahiyama_kakijiro
旭山動物園の園長が語る真実

閑話休題、3月のACCa のウインドウには、染色の桂川美帆さんのろうけつ染めの作品を飾っています。その明るく朗らかな色彩に、今漸く季節が追いついてきた感じです。春ですね。



2019年3月15日金曜日

民営動物園は苦境に?

所用で宇都宮に出掛けるのを好機と、未だ行ったことのない「宇都宮動物園」を訪ねることにしました。ネットで下調べをすると動物の種類も多く、遊園地も併設する大きなところのような印象を受けました。

いざ入り口の前に立つと、係りの人が大声で「いらっしゃいませー」とにこやかにお出迎え。今は冬季割引料金で1200円です、と。うん? 動物園の入園料としてはそれでも高め。あっ、ここは民営なのだと気がつきました。(海外の動物園と比べて日本の入園料は格段に安いとは聞いていましたが、それは公営の場合。)民営とすると、1200円ではとても経営が成り立たないのではと心配になりました。

園内を一周りすると、確かに動物園に期待されるほどの動物はいました。象もカバも。ライオンは5頭、キリンに至っては7頭も。ただ、ケージに張ったネットや注意書きのボードなど全てが手造りで、それも壊れかかって...。財政難を物語っているようにみえました。一番の驚きは、動物がいるケージ内の壁に、近隣のラーメン店や餃子店(さすが宇都宮です)の広告が大きく描かれていたことです。きっとお店がサポーターなのですね。



けれど、そんな環境にいながらも、動物たちは割合幸せそうにみえました。陽気がよくなってきたからでしょうか?スタッフの方たちも、動物たちにとても優しく接しているようでした。

私立動物園の経営難の話は他所からも聞こえてきます。宇都宮動物園が、これ以上の苦境に陥らないで欲しいなと心から願いました。

ところで、今回一番心惹かれた動物はというと、ハイエナのブブでした!すごく可愛いらしい目をしていて、通りがかったスタッフに首の周りを撫でて欲しそうな仕草をするのです。個体差もあるでしょうが、今までハイエナというと怖いイメージを抱いていたのですが、勝手な思い込みだったのですね。



2019年3月5日火曜日

観劇には椅子も大事?

ここ一週間に、3回劇場に行く機会がありました。
寄席、映画、そして芝居を見てきたのですが、観客席の座り心地が大事、ということを改めて感じました。

寄席は新宿末廣亭。初めてです。
柳家さん喬や林家正蔵が出演する2月下席の昼の部だったのですが、ちょっと出遅れてしまったため、着いたら椅子席は満席。両サイドの桟敷の最後尾しか空いていません。畳で落語というのも乙なものだな、と思ったのはとんでもない浅はかな考え!畳が水平ではなく、会場の中央部に向かって低く傾いているのです。果たしてこれは、意図的に設計したものか、経年的な変化なのか?とにかく座り心地がすこぶる悪く辛かったです(笑)
ですが、築82年(戦前)の木造建築は素晴らしかった。舞台も天井も客席も木組みが面白く、工夫が施されていて、物珍しさにキョロキョロ見回してしまいました。



次は、映画の試写会です。
間もなく封切られる「マイ・ブックショップ」。イギリスの片田舎で周囲の冷たい目にもめげず、書店を開く(そして閉じる)女性の物語です。
会場は、飯田橋駅近くの「神楽座」です。100人ほどのキャパで、試写会には丁度良い大きさです。入った途端に、シートがゆったりめに作られているな、と感じました。座席の前後の高低差も程よく見やすい会場でした。こちらを会場に選んだ主催者に感謝です。



最後は、昨晩出掛けた新宿の「紀伊國屋サザンシアターTAKASIMAYA」です。
文学座の「寒花」の初日で、会場には熱気が溢れていました。
伊藤博文を暗殺した安重根(アンジュングン)が収監されている旧南満州旅順の監獄の中で繰り広げらる心理劇で重く緊迫した空気に圧倒される思いでした。
サザンシアターは全体のスペースが小さくロビーも小振りです。にも拘らず客席数は450余り。どうしても窮屈感は否めません。
ただ、今回は芝居の求心力が勝り、座席の窮屈さは余り気になりませんでした。



願わくば、席数100未満のゆとりある空間で、上質のコメディーを楽しみたいです!